住民が主役のまちをつくる

Lecture / 講演

住民が主役のまちをつくる
――豊中方式が問いかけるもの

芦田英機さんの実践から学ぶ「行政参加」という思想

この講演でお伝えすること

「住民参加」ではなく「行政参加」という逆転の発想が、豊中市のまちづくりを全国のモデルに変えました。
芦田英機さんとともに、その現場に携わった経験を通じて、
「まちをつくるのは誰か」という問いを、あなたとともに考えます。

🏙 対象地域

大阪府豊中市。人口約40万人の住宅都市。千里ニュータウンを擁し、全国でも先駆的な市民まちづくり条例を制定した都市。

📅 条例制定

1992年(平成4年)に「豊中市まちづくり条例」を制定。全国でも先駆的な住民主体のまちづくり制度として注目された。

👤 中心人物

芦田英機(あしだひでき)氏。初代まちづくり支援室長として条例を起草し、のちに豊中市助役・豊中駅前まちづくり会社会長を歴任。

芦田英機さんとはどんな人か

芦田 英機(あしだ ひでき)

ASHIDA Hideki
元・豊中市助役
まちづくり実践家
初代まちづくり支援室長
豊中駅前まちづくり会社 元会長

1944年、京都府舞鶴市生まれ。神戸市外国語大学卒業後、豊中市役所に入庁。企画課、商工課などを経て、市民部・まちづくり支援室の初代室長に就任。

1992年、全国でも先駆的な「豊中市まちづくり条例」の制定を主導。「住民参加」ではなく「行政参加」という言葉に象徴される、市民が主体のまちづくり哲学を現場で体現した。

その後、豊中市政策推進部長、京都女子大学教授を経て、2002年から豊中市助役を務める。退任後は豊中駅前まちづくり会社会長として「地域再生のプロセス」を問い続けた。著書に『豊中まちづくり物語』(啓天まちづくり研究会, 2016年)。

「豊中方式」が生んだ思想

「住民参加」ではなく、「行政参加」。まちづくりの主体は市民であり、行政こそがそこに参加していかねばならない。

── 芦田英機『豊中まちづくり物語』より

「住民参加」という言葉には、まちづくりの主体が行政であり、住民はそこへ”参加”するという前提が隠れています。芦田さんはこの構造を根本から問い直し、「行政参加」という言葉によって、住民がまちの主役であることを制度に刻みました。

行政参加

行政が市民の生活の場に”お邪魔する”立場。市民の要請を受けて初めて動く、という哲学。

支援要請文

市民が自ら文書を書き、行政に支援を求める手続き。主役が市民であることを形式で担保する仕組み。

まちづくり研究会

協議会設立の前段階。2年かけて組織の熟度を高め、「本物の協議会」に育てるためのステップ。

助産師的支援

行政職員は「教師」ではなく「助産師」。市民が自ら産み出す力を引き出すサポート役。

まちづくり条例

1992年制定。全国先駆的な内容で、市民主体・行政支援の関係を法的に明文化した。

みんなの計画

「みんなの計画、役所の支援」。計画するのは住民、行政はその実現を後押しする、という役割分担。

住民主体の仕組みはどう作られたか

市民が「支援要請文」を書く

まちづくりを始めたい住民グループが、自分たちの言葉で行政に支援を求める文書を作成する。行政が先に動くのではなく、市民からのアクションが出発点。

「まちづくり研究会」としてスタート

いきなり「協議会」を作るのではなく、まず研究会として2年間の活動期間を設ける。公開の議論を重ね、会則や運営方法を整え、リーダーとしての自覚を育てる。

熟度が高まったら「まちづくり協議会」へ

地域住民の多数の支持を得て、組織として成熟した段階で市長が「まちづくり協議会」として認定。行政は専門家派遣・資金援助などで継続支援する。

「まちづくり構想」を市に提案

協議会が独自のまちづくり構想を策定し、市長に提案できる権利を持つ。行政はその構想を「配慮すべきもの」として施策に反映させる義務を負う。

行政と市民が互いに「訓練・変革」を重ねる

このプロセスは、住民だけでなく行政職員も変えていく。市民と行政が対話を重ねながら、ともに「まちをつくる能力」を育てる共同作業。

豊中まちづくりの歩み

1976年
「豊中方式」スーパー条例の先駆
芦田氏が「小売商業活動の調整に関する条例」の素案を起草。全国自治体で初めての制定。この頃からまちづくりへの関与が深まる。

1992年
「豊中市まちづくり条例」制定
芦田氏が初代まちづくり支援室長として条例を主導。住民主体・行政支援・支援要請文・まちづくり研究会など独自の仕組みを条文化。全国から注目を集める。

2002年〜
豊中市助役に就任
市政ナンバー2として、まちづくりの理念を全市的に推進。行政内部からも「まち」を変え続けた。

2015年〜
豊中駅前まちづくり会社 会長
退任後も「地域再生は過程が大切」と発信。商業・都市計画・コミュニティの三つを統合した地域再生の実践を続ける。

2016年
『豊中まちづくり物語』刊行
芦田英機著(赤澤明編)。豊中方式の理念・実践・仕組みを体系的にまとめた一冊。まちづくりの実務書として全国で参照される。

2022年〜
地区まちづくり条例の改正・新制度
豊中市が条例を改正し、地区まちづくり活動団体の登録制度・クラウドファンディング支援など新制度を開始。豊中方式の精神が現在も継承される。

講演でお話しできるテーマ

「行政参加」という逆転の思想

  • 「住民参加」と「行政参加」の違いとは何か
  • まちづくりの主体を市民に置くとき、行政はどう変わるか
  • 芦田さんが「支援要請文」にこだわった理由
  • 現場で感じた「言葉の力」と「手続きの意味」

仕組みとプロセスのデザイン

  • まちづくり研究会→協議会という「熟成プロセス」の意味
  • 住民組織が自立するための条件とは
  • 行政が「教師」ではなく「助産師」であるとはどういうことか
  • 豊中市まちづくり条例の構造と現代への示唆

現場で携わった実体験から

  • 芦田さんとのやりとりの中で気づいたこと
  • 「まちづくりとは生活に密接に結びついたもの」という視点
  • 行政職員・市民・専門家がともに変わっていく過程
  • 豊中方式が「継承されなかった」ことの問いと、いまに続くもの

聴いた人が持ち帰れるもの

「まちをよくしたい」と思いながらも、どこから手をつければいいかわからない。
行政と市民の間で板挟みになっている。地域活動に息切れしている。

そんな方にとって、豊中方式の思想は「問い直し」のヒントになります。
答えではなく、あなた自身の「なぜ」を取り戻す時間として、この講演を届けたいと思っています。

自治体職員の方へ

住民との関係性を根本から見直す視点。「支援する」とはどういうことか、実例から学ぶ。

地域活動に関わる方へ

「行政に動いてもらう」のではなく、自分たちが主役として動くための思考法。

まちづくりを学ぶ方へ

教科書に載らない「現場の知恵」と、制度設計の背後にある哲学を知る機会。

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